揺れ日記

熊本地震で被災。行政からも何の支援も無く一人で自費で県外避難転居しました。

輝く夜

先日、好きなアーティストのライブに行ってきた。

ceroという3人組で転居先となった地でのライブはかなり久しぶりらしい。

地震前は歩きで通勤していて、毎日ceroの曲を聴いていたからもうそれは歌詞がすらっと出てくるくらいに耳に馴染んでいる。

だけどライブに行くのは初めてだし、どんな感じか分からないけれど、プロレスも生で観ると感動するように、やはり音楽をその場で見聴きするのはまた違うはずだ。

 

先月から仕事がとてつもなく忙しくなり、毎日残業、前からやらねばと思っていた事を再勉強したり、熊本に帰ったりして休みも超多忙。ライブがあることをすっかり忘れており当日の朝思い出して慌てて支度し直して出勤。

 

実は本当ならば彼と行くはずだったのだが、いろいろあって半年で別れてしまった。

そういえば8月にこのライブのチケット予約をしたのに、前職の給料と転職先の給料の間の無収入の中、どうにかやりくりして支払いしたのに、彼はとうとう代金を払ってくれなかったなあ…と思い出す。

 

残業になりそうかな、という状況だったのに、夕方奇跡的に定時で帰ることとなった。

ceroすごい。

 

会場入りして、一人でミルクティーを飲んでいると男性も女性も同じように一人で来ている人が割といて安心する。

きれいでお洒落な曲が流れる中、(メンバーの一人、あらぴーこと荒内氏の選曲でサポートメンバーのソロの曲とのこと)だんだんぎゅうぎゅうづめになってきて知らない人とうわー、人酔いしますねー、などと話していると

ふっと暗くなりメンバーが集まり、演奏が始まった。

 

新曲以外は歌えるものばかりで、一緒に歌いながら曲に合わせて体を動かしたり、拍手したり、疲れているはずなのに、それがとても楽しくてステージで演奏しているメンバーやミラーボールがキラキラしてるのを見て、素敵だなあと思っていた。

 

Orphansが流れ出すと、地震前の熊本での毎日や通勤路の風景を思い出していた。

あの頃は判で押したような毎日で職場と家の往復、仕事は残業も早出もあって大変だったけれども、それ以外は定時で帰ることが出来て

安い日や時々レイトショーなんか観たりして、今に比べたらそれはそれはゆっくりした時間だった。

3月に出掛けた東京の、阿佐ヶ谷のごみごみした魅力的な街も思い出していた。あの一夜は本当にとても楽しかった、でももう戻ってこない時間。

 

キラキラ黄金色に輝くステージで楽しそうに歌う高城さんを眺めながら、ああ、できることなら、タイムマシンがあるなら、地震前の毎日に戻りたい戻りたい…と涙が出てしまって、ステージが滲んでいた。

彼の前ですら泣けなくて、ずっと耐えていたのもあって感情がどっと溢れ出てしまう。

 

 やっぱり、地震で自分が思う以上にストレスがかなり蓄積されていたんだな、被災して職場からの残留を断り、転居し転職したことをこれで良かったんだと思っていたけれど、本当に良かったんだろうか、自分で決めたことだからと思っていたんじゃないか、熊本に戻るか、とかそんな事を考えていた。

 

でも、時間は戻ってこないし、帰る家も無いし熊本に戻る事もまだまだ無理だ。

 

でも、眩しいステージで演奏している様を眺めながら、曲に合わせてゆらゆらしながら、歌いながら、少しずつ元気が出てくるのがわかったし、嫌なことや悲しいことがあって、また一人になったけれど、この夜を皮切りに変わるような気もしてきた。

 

音楽で元気に、とかいうのは嘘だろうと思っていたけれども、あれは本当だなあとこの時感じた。

すごく良い演奏でこの時間が冷凍保存出来たらなあ…と思いながら会場を後にする。

立ちっぱなしの上、とんだり踊ったりしてくたくたで、風邪気味ぽいのに帰り道は妙に元気だった。

 

Orphansの歌詞で一番好きな

あぁ 神様の気まぐれなその御手に掬いあげられて あぁ 僕たちは ここに いるのだろう

と口ずさみながら、思い切って来て良かったな、 リセットして新たに出直す、輝く一夜となった。

 

 

 

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